はじめに
ここではFXで使う移動平均線について、そもそも移動平均線って何?SMAとかEMAって何が違うの?移動平均線ってトレードで有効なの?といった方に向けて解説しています。
移動平均線の基本やちょっとした応用(移動平均線の計算の仕方)、有効性を確認できると思うので参考にしてみてください。
移動平均線はチャート分析をする上で非常に重要でメジャーなテクニカル分析といわれています。が、移動平均線とは何かというところから説明していきたいと思います。
移動平均線とは?
移動平均線とは、トレンド系で最もメジャーなインジケータの一つです。英語でMoving Averageです。よくMAと略されたりもします。
そして移動平均線の中にもいくつか種類があります。MT4で設定できるものとしては
- 単純移動平均線:Simple MA (SMAと略される)
- 指数平滑移動平均:Exporential MA (EMAと略される)
- 平滑移動平均線:Smoothed MA (SMMAと略される)
- 線形加重移動平均:Linear Weighted MA (LWMAと略される)
この4種類になります。
今回ご紹介するのはこの4つの中でも特にメジャーで、私も利用しているSMAとEMAです。
※平滑移動平均線と線形加重移動平均は見てる人も少ないと思うので割愛します
単純移動平均線(SMA)
SMAはその名の通り単純です。SMAには以下の画像のように期間を設定できますが、
この部分を21にすると21SMAとなります。この期間は20や21がメジャーなのでその値に近い設定にするのがベターです。自分なりに意図して設定値を変えて行っても問題ありませんが、殆どのブローカーのMAの設定値は20や21なので多くの人が20や21で相場を見ているという認識だけ持っておきましょう。
20と21で何かかわるの?というと殆ど変わりません。以下の図の薄緑の実線が20SMAで、薄青の点線が21SMAです。
20と21の違いを見てもらうとほんのわずか若干相違があります。20SMAは20個のローソク足の終値を全て足して20で割った(平均化した)値、21SMAは21個のローソク足の終値を全て足して21で割った(平均化した)値という計算になります。
なので、この若干の相違はローソク足1個分の平均値の相違という事になります。
極端な話、2SMAの場合、現在のローソク足の終値と1つ前のローソク足の終値を足して2で割った値がSMAの値となります。
(104.430+104.340) / 2 =104.385 なのでSMAの値は104.385になるという感じですね。
指数平滑移動平均(EMA)
EMAはSMAと双璧をなすメジャーな移動平均線です。よく、SMA派だったりEMA派だったりとトレーダーの中でもわかれますが、私はこちらのEMA派です。(理由は後述します)
設定値の期間に関しては、SMAと同じでEMAも20や21がメジャーです。
では、何故私がEMA派なのか?を解説していきます。
まずSMAとEMAでは計算方法が違います。計算方法は式で書くと少し難しいので、実際のSMAとEMAの違いを実際に見てみましょう。
以下の図の薄緑の実線が24EMAで、薄青の点線が24SMAです。
大体同じところや、結構違いが出てくる部分がありますよね。
まず、EMAは単純に値動きに対して反応が速いです。何故EMAも24本のローソク足の平均値なのに反応が速くなるのかと言うと、EMAは直近のローソク足の終値を重要視して計算しているからなんです。25本前のローソク足で大きくガクッと下がっている部分がありますが、ここの終値はどんどんチャートが進む(新たなローソク足が出来上がっていく)につれて影響力がどんどん下がっていきます。なので、過去の下げよりも直近の上げが影響しやすくなるので反応が速くなります。
対して、薄青の点線のSMAを見てほしいのですが、線が上を向くまでの反応がEMAより遅いですよね。あと黄色〇の部分で一気にグンと上げています。直近のローソク足は特に大きく上げているわけではなく、むしろ上げ下げしています。一体何故でしょうか・・・?
それは、SMAの期間にからくりがあります。今回は期間24に設定しています。丁度26、25個前のガクッと下げたローソク足の終値が計算から一気に外れてくる部分が黄色〇の部分になってきます。従って、現在のローソク足は上げ下げしているだけですがSMAの平均値がグンと上がっているわけですね。
よく、SMAは2度吠えると言われたりするんですが、大きく値段が動いた場合SMAは動いた初っ端と期間(24)を過ぎて計算から抜ける部分でモロに影響します。私は、この計算から抜ける部分でたいして上げてもいないのに上げたように見えるのが嫌だったのでEMAを使うようにしています。
また、値段が大きく動いていない場合(上記チャートだと、大きく下げる直前あたりは)EMAもSMAもあまり変わらない状態になります。
上記のEMAの特徴をまとめるとこんな感じです。
1.値段が大きく動いた場合、反応が速い
2.過去の終値よりも最近の終値の方が影響力が高い(過去の大きな値動きに左右されにくい)
3.値段が大きく動かない場合、SMAと大体同じになる
移動平均線の使い方(基本編)
移動平均線の使い方は色々ありますが、オーソドックスな使い方を解説します。
1.移動平均線の向きを利用する
移動平均線が下を向いたらショート方向に、上を向いたらロング方向にエントリーしていく。
上記の図のような感じですね。
こうやって見ると、FXって移動平均線だけで行けちゃうんじゃないのって思ってしまいそうですね・・・。
※実際はめちゃくちゃ難しいです
2.移動平均線をレジサポラインにする
移動平均線を元に反発があれば、それを元にエントリーする。
これも、上記の図のような感じで、移動平均線に反発している(上げ切れていない)のでショートエントリーで仕掛けていくという感じです。
3.移動平均線から終値が離れ過ぎたらエントリーしない
移動平均線から、終値があまりにも離れていたらエントリーしないという抑止に使ったりもします。
上記の図のような感じの所は、移動平均線が下を向いているがショートエントリーしづらい所、移動平均線が上を向いているがロングエントリーしづらい所です。
できるだけ移動平均線に近い所でエントリーした方が戻りに巻き込まれる可能性は下がりますが、そうするとレンジや反転に巻き込まれる可能性が出てきます。
4.複数の移動平均線を利用する
移動平均線を複数使い、ゴールデンクロスでロングエントリー、デッドクロスでショートエントリーしたりします。
ゴールデンクロス時は、こんな感じでロングエントリーします。
デッドクロス時はこんな感じでショートエントリーします。
移動平均線を使って過去データ検証
移動平均線だけを使って過去データ検証してみます。
過去16年間の米ドル/円の15分足で、移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスを使ったトレード検証結果です。
※短期移動平均線の期間は24、中期移動平均線の期間は77にして検証
2727回トレードして勝った回数が1434回です。勝率は52.6%と少し勝ち越している感じです。平均利益367.86に対してと平均損失369.62なのでほぼトントンです。移動平均線だけで、結構戦えることがわかりますね!
エントリーと決済ルール
今回検証するにあたり、エントリーと決済のルールを決めています。
まず、15分足でバーが確定したタイミングでエントリーするかどうか判定します。
エントリー
ゴールデンクロスでロングエントリーし、デッドクロスでショートエントリーします。
決済
こうなったら決済するとかではなく、今回はエントリー時の逆指値、指値のみで管理しました。
損切りポイントは中期移動平均線から14pips分不利な場所にしています。
※ロング時は中期移動平均線の14pips下、ショート時は中期移動平均線の14pips上
利確ポイントは、損切りポイントから逆算しています。
※損切りポイントがエントリー値から不利な方向に30pipsとした場合、利確ポイントはエントリー値から有利な方向に30pipsとします
さいごに
移動平均線について説明しましたが、如何だったでしょうか。
移動平均線を使う最大のポイントは
ということです。このかなりの人が見ているであろうメジャーな線であることが重要です。皆が見ている線は、意識されるので反発や転換が起きやすいです。
なので、移動平均線はトレンドを分析する上でかなり重要なテクニカル指標になってきます。そして、そういった移動平均線を理解することで、『自分のトレードは移動平均線に合っているのか』『移動平均線に即したトレードになっているか』を見直すことが可能になると思います。
あと、移動平均線のオススメの設定値についても以下の記事で解説していますので是非参考にしてみて下さい。
あと、今回検証作業を行いましたが、MT4のバックテスト(自動売買)という機能を使うと過去のチャートを使って簡単にトレード検証できるので便利ですよ。興味のある方は是非以下の記事も読んでみて下さい。
※ 裁量トレードには限界がある?(収支を安定させる自動売買の始め方)
※ 私が使っているオススメEA
コメント