今回は、MT4のEAサンプルソース(FX用)を公開します。
許容できる損失額からエントリーする際のロット数を自動計算する関数となっておりますので、是非使ってみて下さい。
はじめに
今回は、許容できる損失額からロット数を計算する関数について公開します。
エントリー時にストップロスを設定する際、
-30pipsをストップロスにしたけど口座残高の5%分の損失を許容できる場合のロット数はいくつになるんだろう
-30pipsをストップロスにしたけど1万円の損失を許容できる場合のロット数はいくつになるんだろう
と、こういった場合に役に立ちます。
以前、証拠金維持率からロット数を計算する関数を作ったのですが少し切り口を変えた形になります。
証拠金維持率からロット数を計算する関数はこちら↓
ソースコード
以下、関数のサンプルソースです。
許容できる損失額からロット数を計算する関数(許容損失計算関数)です。
//+------------------------------------------------------------------+
//|【関数】許容損失額に対してのロット数を取得する
//|
//|【引数】Type:0か1(0:% 1:額)Pips:ストップロスのPips(50=50pips) PerSec:許容損失額(5% 50000円等)
//|
//|【戻値】ロット数(1000通貨=0.01)
//|
double funcLotGet(int Type,double Pips,double PerSec)
{
double RiyouGaku=0,SaidaiLot=0,KouzaMoney=0,Kekka=0;
if(SL == 0){
Print("ストップロス値が設定されていません");
return(0);
}
//最大ロット数確認
double server_Lot = MarketInfo(Symbol(),MODE_MAXLOT);
if(SaidaiLot == 0 || SaidaiLot > server_Lot){
SaidaiLot = server_Lot;
}
//口座残高(余剰証拠金)
KouzaMoney = AccountInfoDouble(ACCOUNT_FREEMARGIN);
if(Type == 0){
//利用可能金額算出
RiyouGaku = NormalizeDouble(KouzaMoney * (PerSec / 100),0);
}else{
//利用可能金額算出
RiyouGaku = PerSec;
}
Print("余剰証拠金:" + DoubleToString(KouzaMoney,0) + " 利用可能金額:" + DoubleToString(RiyouGaku,0));
//通貨ペア取得
string Tuuka = Symbol();
//通貨ペア名称保持
int MojiCnt = StringLen(Tuuka);
string subMoji = "";
if(MojiCnt > 6){
subMoji = StringSubstr(Tuuka, 6, MojiCnt - 6);
}
//クロス円
if(StringFind(Tuuka, "JPY",0) != -1){
//ロット数計算
Kekka = RiyouGaku / Pips /1000;
//ドルストレート
}else if(StringFind(Tuuka, "USD",3) != -1){
//double Nedan = MarketInfo("USDJPY"+subMoji, MODE_ASK);
double Nedan = iOpen("USDJPY"+subMoji,PERIOD_CURRENT,0);
//ロット数計算
Kekka = RiyouGaku / Pips / Nedan / 10;
}else{
Print("計算対象外通貨です:"+Tuuka);
return(0);
}
//少数点を0.01単位までにする
Kekka = NormalizeDouble(Kekka, 2);
//最大ロット数を超えている場合は、最大ロット数にする
if(Kekka > SaidaiLot){
Kekka = SaidaiLot;
}
return Kekka;
}
解説
引数
引数1はタイプです。タイプ1は需要があるかわかりませんがお好みで設定してください。
- 0の場合 ➡ 余剰証拠金から許容できる損失額をパーセンテージで計算するタイプ(引数3は%で渡す)
- 1の場合 ➡ 引数3に直接損失額を直打ちするタイプ(引数3は金額で渡す)
引数2はストップロス(Pips)です。エントリー時にストップロスを何Pipsに設定するかの際の値を渡すようにしてください
(例)20Pipsの場合は、20を渡す
引数3は許容損失額です。引数1でも説明しましたが、余剰証拠金から許容できる損失額をパーセンテージで渡してください。
- 引数1が0だった場合 ➡ 余剰証拠金から許容できる損失額をパーセンテージで渡す
- 引数1が1だった場合 ➡ 引数3は直接損失許容金額で渡す
例
以下、状況別の引数の例です。
余剰証拠金が50万円あり、1トレード10%(5万円)失ってもいい場合でストップロスは30Pips
↓
funcLotGet(0,30,10)
1トレード7万円失ってもいい場合でストップロスは50Pips
↓
funcLotGet(1,50,70000)
タイプによって引数3の数値の意味合いが変わるのは少し気持ち悪いですが、汎用性を意識しています。
戻り値
許容損失額に応じた、ロット数を返します。 ※1=10万通貨
(ブローカーによる最大ロットをオーバーしている場合は、ブローカーの最大ロット数になります)
また、ストップロス値が設定されていない場合や対円・ドルストレート以外(AUDCAD、GBPNZD等)の場合は0を返しています。
処理内容
まず自分の口座の口座残高(余剰証拠金)を取得し、引数3の許容損失額(%)を使って利用可能金額を算出しています。
Kekka = NormalizeDouble(KouzaMoney * (PerSec / 100),0);
↓
(利用可能金額:50,000)= (余剰証拠金:500,000) * (許容損失額:0.1 )
次に、対円なのかドルストレートかで計算方法が変わってくるので通貨ペアの確認をしています。
対円の場合は計算は簡単ですが、ドルストレートの場合はドル/円の値段が必要になってきます。
※補足情報・・・MarketInfo(Tuuka, MODE_ASK)でドル値段を取得してもよかったのですが、バックテストで値が取れないためiOpen()で開始値を取得しています。
最後に、ロット数の確認をし最大ロット数を超えている場合は最大ロット数にしています。
許容損失計算関数の使用例
// 新規エントリー注文
int CNo = OrderSend(
NULL, // 通貨ペア
OP_BUY, // オーダータイプ[OP_BUY / OP_SELL]
funcLotGet(0,20,10), // ロット[0.01単位](10%損失許容)
Ask, // オーダープライスレート
・・・
OrderSend()関数のロット数のところに書き込む感じです。あとは、funcLotGet()関数をソース内にそのまま貼り付けてください。
使用した結果はこんな感じで、履歴は下から上へ流れているので余剰証拠金が50万円あり、1トレード10%(50,000円)失っても良い場合(ストップロスは30Pips)のロット数は1.67という事がわかりますね。
で、このトレードはストップロスになり50,100円失い余剰証拠金が449,900円になったため、次回のトレードの10%(44,990円)失っても良い場合(ストップロスは30Pips)のロット数は1.50という事がわかります。
その他注意点
今回の関数は、価格差益のみの計算となっておりスワップポイントのマイナスやプラス分までは考慮されていません。
主な使用関数
MarketInfo()
マーケット情報を返す。
MarketInfo(Symbol(),MODE_MAXLOT));でそのブローカーの取引通貨の最大ロット数を取得します。
AccountInfoDouble()
アカウント情報を返す。
AccountInfoDouble(ACCOUNT_FREEMARGIN)を使って自分の口座の余剰証拠金を取得します。
NormalizeDouble()
少数点以下の桁数を四捨五入した値を返す。
NormalizeDouble(x, 0)で小数点を四捨五入し整数にした値を取得します。
StringFind()
文字列検索。
見つかったワードが開始される文字列位置を返します。
見つからなかった場合は-1を返します。
さいごに
以上、許容できる損失額からロット数を計算する処理となります。
今回は読者さんからの要望でしたが、自分の普段考えていないロット数計算だったため新鮮でした。
また、対円・ドルストレート以外の計算(AUDCAD、GBPNZD等)も対応したいと思います。
※ MT4・EAが使えるFX会社のおすすめ
※ EAのサンプルソースを一覧表にまとめました
コメント
さっそく記事にしてくださって、ありがとうございます!
今日もMQLの勉強をしていますが、本当にいつも参考にさせていただいております。
これからもよろしくお願いします!
MQLの勉強頑張ってくださいね!
こちらこそよろしくお願いします!