「同じEA・同じ設定でバックテストしたのに、結果が違う」
そんな経験はありませんか?
バックテスト結果は、EAのロジックだけで決まるわけではありません。どのヒストリカルデータを使うかによって、損益・勝率・PF(プロフィットファクター)・ドローダウン・取引回数まで変わることがあります。
本記事では、実際に同じEAを使って複数のヒストリカルデータでバックテストし、なぜ結果が変わるのかを確認します。
2026年の追加検証として、M15のStochastic EAを使い、FXTF・MetaQuotes・Tickstory+Advanced Testerの3環境で比較しました。
- 同じEAでも、ヒストリカルデータが違えばバックテスト結果は変わる
- 原因は、価格そのもの・Tickの細かさ・時間帯・スプレッド・欠損など複数ある
- モデリング品質99.90%でも「実運用を完全再現した」という意味ではない
- EAの基本検証は無料データでも可能だが、必要に応じて別データでクロスチェックすると判断しやすい
なぜ同じEAでもバックテスト結果が変わるのか?
MT4のバックテストは、過去の価格データをもとにEAの売買を再現します。つまり、バックテストの土台そのものがヒストリカルデータです。
そのため、EAの設定がまったく同じでも、使用するデータが変われば売買結果も変わることがあります。
FX会社やデータ提供元によって、同じ時刻でもBid・Askの価格がわずかに異なることがあります。
1分足OHLCから再現する場合と、実際のTick単位の値動きを使う場合では、足の途中の値動きが異なります。
GMTやサーバー時間が異なると、ローソク足の区切りや時間指定EAの判定が変わります。
固定スプレッド・変動スプレッドなどの条件差によって、エントリーや決済価格が変わります。
一部の価格データが欠けていたり、時間足生成に不整合があると、ローソク足やテスト結果に差が出ます。
※ データ欠損や時間足生成の不整合がある場合、MT4のストラテジーテスターで「不整合チャートエラー」が表示されることもあります。
2026年に同じEAで3種類のデータを再検証
今回は、同じEA・同じ設定・同じ期間で、次の3種類のデータを使ってバックテストしました。
- FXTF:FXTFが提供する1分足ヒストリカルデータ
- MetaQuotes:MT4から取得した標準的なヒストリカルデータ
- Tickstory+Advanced Tester:Dukascopy由来のTickデータをMT4用に出力して検証
| EA | 08_Stochastic |
|---|---|
| 通貨ペア | USDJPY |
| 時間足 | M15 |
| 期間 | 2026年4月1日 ~ 2026年7月31日 |
| モデル | 全ティック |
| ロット | 0.01 |
| TP / SL | 30pips / 30pips |
| Stochastic | K=5 / D=3 / Slow=3 / 買い水準20 / 売り水準80 |
| スプレッド | 5ポイント |
| 初期証拠金 | 1,000,000円 |
※ 3環境ともストラテジーテスター上では同じ期間を指定して実施しています。Tickstory+Advanced Testerのレポートでは、読み込んだデータ範囲と思われる別期間がヘッダーに表示されましたが、実際のテスト指定期間は上記で統一しています。
バックテスト結果を比較
| 項目 | FXTF | Tickstory +Advanced Tester | MetaQuotes |
|---|---|---|---|
| モデリング品質 | 90.00% | 99.90% | 90.00% |
| 不整合チャートエラー | 0 | 0 | 0 |
| バー数 | 9,353 | 12,675 | 9,353 |
| モデルTick数 | 3,713,022 | 11,824,769 | 7,889,521 |
| 純損益 | 1,919円 | 3,096.87円 | 1,175.04円 |
| PF | 1.10 | 1.16 | 1.06 |
| 最大DD | 2,227円(0.22%) | 2,855.47円(0.28%) | 2,478.92円(0.25%) |
| 取引回数 | 138回 | 140回 | 141回 |
| 勝率 | 52.17% | 55.00% | 53.90% |
今回のテストでは、EA・期間・設定は同じでも、3種類のデータで結果が完全には一致しませんでした。
たとえば取引回数は、FXTFが138回、Tickstoryが140回、MetaQuotesが141回でした。わずか3回の差ですが、同じEA・同じ設定でも、使用するヒストリカルデータによってシグナル発生そのものが変わることが分かります。
PFはFXTFが1.10、Tickstoryが1.16、MetaQuotesが1.06。純損益も1,175.04円~3,096.87円まで差が出ました。一方で最大DDはFXTFが最も小さく、Tickstoryの利益が一番大きかったから「一番正しい」とは判断できません。
Tickstory+Advanced Testerではモデリング品質99.90%となり、モデルTick数も大きく増えています。これは、より細かなTick単位の値動きを使ってテストしていることを確認する材料になります。
モデリング品質は、バックテスト内でどの程度細かく価格変動を再現できているかを見る重要な指標です。
ただし、実運用では変動スプレッド・スリッページ・約定速度・流動性なども影響するため、99.90%だからリアルトレードを完全に再現できるという意味ではありません。
実際のエントリー価格も違っていた
テスト結果全体だけでなく、個別の売買を確認すると、同じタイミング付近でもエントリー価格に差がありました。
| データ | 時刻 | エントリー価格 |
|---|---|---|
| FXTF | 00:46 | 159.577 |
| Tickstory | 02:45 | 159.510 |
| MetaQuotes | 00:45 | 159.558 |
この例では、FXTFとMetaQuotesはほぼ同じ時刻でBUYしていますが、Tickstoryでは約2時間後にエントリーしています。価格差だけでなく、同じStochasticロジックでもシグナル判定のタイミング自体がずれるケースが確認できました。
こうした小さな違いでも、EAが「価格が○○を超えたらエントリー」「一定pipsでTP・SL」といったロジックを使っていれば、その後の売買結果まで変わる可能性があります。
モデリング品質90%と99.90%はどう考える?
MT4のバックテストでは、モデリング品質の数字だけを見て「90%だから使えない」「99.90%だから絶対に正しい」と判断しない方がよいです。
FXTFの1分足データでも、今回のようなEAの基本的な傾向確認には十分活用できます。実際、今回のM15・140回前後の比較でも3環境すべてPFは1.0を上回り、EA全体の方向性が完全に逆転したわけではありません。
一方で、足の途中でTP・SLに触れたか、短時間にどのような順番で価格が動いたかまで細かく確認したい場合は、Tick単位のデータを使えるTickstoryのような環境が役立ちます。
Tickstoryを使ってMT4にTickデータを入れる具体的な手順は、以下の記事で実機ベースで解説しています。
過去にはFXTF・MetaQuotes・Alpari・Dukascopyでも比較
当サイトでは以前にも、同じEAを使ってFXTF・MetaQuotes・Alpari・Dukascopyの4種類のヒストリカルデータを比較しました。
以下は当時のバックテスト結果です。現在のデータ提供状況や入手方法とは異なる部分がありますが、「データ提供元が変わるだけでEAのバックテスト結果も変わる」ことを確認した過去の検証例として残しています。
当時の結果でも、データ提供元によってPFなどに差が出ました。今回の2026年再検証でも同じ傾向が確認できたため、バックテスト結果はヒストリカルデータに依存すると考えておくのが安全です。
※ Alpariについては現在のおすすめデータとして紹介しているわけではありません。上記は過去に実施した比較結果です。
では、どのヒストリカルデータを使えばいい?
「どのデータが一番正しいか」を1つに決めるより、何を確認したいかによって使い分ける方が実践的です。
FXTFが提供するヒストリカルデータを使って、運用環境に近い価格データで基本検証。
FXTFの取得・取り込み手順を見るDukascopy由来のTickデータをMT4用に出力できるTickstoryが候補。
Tickstoryの実践手順を見るDukascopyのデータを直接取得してMT4へ取り込む方法もあります。時間帯の扱いには注意が必要です。
Dukascopyの取り込み手順を見るFXTF・Dukascopy・MetaQuotes・HistData.comの特徴をまとめています。
無料ヒストリカルデータ4選を見るバックテスト結果は1種類のデータだけで断定しない
今回の検証から分かるのは、同じEA・同じ設定でも、ヒストリカルデータが変われば結果も変わるということです。
- 価格配信元が違えば、同じ時間でも価格が異なる
- Tickの細かさによって、足の途中の値動きの再現が変わる
- 時間帯・スプレッド・データ欠損なども結果に影響する
- モデリング品質99.90%は有用な指標だが、実運用の完全再現を意味しない
まずは無料のヒストリカルデータでEAの大まかな傾向を確認し、結果が重要な場面では別データでもクロスチェックする。さらにデモ口座などでフォワードテストを行う、という流れが現実的です。









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